初ブログです
梶原診療所の在宅サポートセンター事務の牛田さんが、ずいぶん前から、ブログを開設してくれましたが、毎日の忙しさに追われ、ずーと気になりながら、きっと一年くらい過ぎてしましました。
ぼちぼちと書き始めてみることにしましたので、よろしくお願いします。
さて、6月の18日、19日と第15回緩和医療学会学術集会(東京)に行ってきました。
今回は、「非悪性疾患の緩和ケア」のシンポジウムを成功させることがミッションでした。
日本では緩和ケア=がんの緩和ケアですが、世界的には、今世紀にはいってから、緩和ケアは、がんだけでなく、全ての人に提供されるべきケアであると認識されていますが、日本は残念ながら、非がん疾患の緩和ケアに関しては、実践、研究、教育とも立ち遅れています。、
今回のシンポジウムは、十数年の盟友である青梅慶友病院の桑田美代子氏(老年専門看護師)とともに座長をつとめました。非がん疾患の緩和ケアは今や僕のライフワークになっていますので、
半年くらい前から色々と相談をし、各分野から強力なシンポジストを招き、二人でわくわくしながら当日を迎えました。
「緩和医療学会はがんの学会だから、きっと少ないよね」と、舞台裏で話していましたが、会場は意外?と満員で、他の会場以上に盛況でした。緩和医療学会にも、緩和ケアチームやがん拠点病院の医療職だけでなく、在宅や一般病院で、あらゆる人の緩和ケアに日々奮闘し、興味を持っている人たちがたくさん来ているのかもしれません。
医師のシンポジストは3名でした。
難波玲子先生は、長年岡山でALSを中心とした神経難病の現場で仕事をされ、現在は160名の神経難病の訪問診療をされています。ALSのガイドライン作成や呼吸管理のガイドラインなどにも関わられ、神経難病の緩和ケアでは第一人者です。NPPVを選択した人の最期の苦痛が非常に激しいものであることをいち早く気付かれ、発信しておられます。
名古屋大学の平川仁尚先生は、僕が先生の認知症とがんの末期の症状の違いについて、多施設共同研究をされた論文を読み、是非一度お話を聞いてみたいと思っていました。平川先生は、認知症を中心たした高齢者の緩和ケアについてお話をされました。平川先生が、介護職への緩和ケアの教育の実践されておられることに非常に感心しました。オーストラリアの高齢者介護施設での緩和ケアの質の向上のためにAPRACプロジェクトが設置され、介護職への体系的な緩和ケア教育が展開されていますが、非がん、特に高齢者の緩和ケアでは、介護現場への緩和ケア教育が本当に重要です。がんの緩和ケアの教育であるPEACEと同様に、介護現場に高齢者への緩和ケア教育がされるようになればよいと思いました。
長寿医療センターの西川満則先生は、呼吸器疾患や心不全の緩和ケアについて、ご講演いただきました。心不全の緩和治療は、内科的に正しい治療の上に積み重ねるべきであることは、米国心臓病学会のガイドラインにもかかれていますが、そのことを明確に指摘されたことが印象に残っています。呼吸器の中止の判断についても言及され、臨床的に非常に深いご経験を有している方です。
看護師は施設と在宅の立場から、それぞれお一人ずつご登壇いただきました。
在宅の立場からは、長年在宅で非がん疾患の緩和ケアにとりくんでいらっしゃる藤田愛氏に訪問看護の立場から、嚥下困難時の問題を発表されました。嚥下障害や食べれないことは呼吸困難と並んで、非がん疾患の症状緩和の大きな問題です。藤田さんの実践を聞いて、いつも感心するのは、看護師の立場から、徹底的に患者さんの「おもい」をアドボケートし、幾重にも折り重なった患者さんとご家族の意思決定の根底にあるものを直感的につきとめ、ときほぐし、調整する力です。
施設の立場からは、西山みどり氏(老年CNS)が、高齢者の緩和ケアは、認知症の方などの緩和ケアは、苦痛をキャッチする専門職の力が重要であること、そしてそのケアは基本的なケアの積み重ねであることがよくわかりました。オーストラリアで広く認知症の苦痛のアセスメントツールであるabbey scaleが、苦痛を発信できない認知症高齢者の苦痛は、ケアに関わる看護師の観察が最もあてになるという考えのもとに創られたという話を思い出しました。
今回お会いした方々とはそれぞれ立場や医療の実践の場、職種は違いますが、臨床的感覚はとてもフィットし、舞台裏の話しでは非常に盛り上がりました。引き続き、非がんのメーリングリストなどで情報交換をし、非がんのことに関心のある方々のネットワークをつくろうとお約束しました。
皆さま、本当にありがとうございました。